増井博明の森林紀行エッセイ

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ブルキナ・ファソ編

【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.14

村での活動 トゥムセニ(Toumousseni)村

私が訪ねた村をいくつか紹介したい。最初はトゥムセニ村である。訪問した村では、どの村でも老若男女、皆生き生きとしている。特に子供の目はキラキラと輝いている。現代にあっては物質文明とは最も対極に住んでいる人々と思われるが、幸福そうである。幸福度は、物質文明と反比例するのではないかとさえ思わされ、物質の豊かさでは幸福度は測れないということを証明しているようでもある。

そういった村人ではあるが、彼らもより多くの資金や物資を援助してくれと頼んでくる。徐々に物質文明に汚染されているのであろう。つまりは、幸福とは反対の方向に行きたいと言っているということになるが、それも我々の援助がそうさせているのではないかと、そう思うとある種の矛盾を感じるのである。

 

トゥムセニ村までの道

トゥムセニ村はトゥムセニ指定林周辺の村で、バンフォラの西約30kmに位置し、車で40分程である。この村は、私がこのプロジェクトに参加して始めて訪れた村なので印象深い。2011年3月29日(火)、スタッフのドゥニーズと一緒に訪れた。途中見るもの皆珍しい。乾期であるため舗装されていない道路からは車やバイクが通るともの凄い埃がまき上がる。所々にフランスの植民地時代に植えられたカイセドラ(Khaya senegalensis)の並木も美しい。

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埃がまい上がる道路

 

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カイセドラ(Khaya senegalensis)の並木

 

村の雰囲気

バンフォラに近いためプロジェクトを行っている村の中では比較的進んでいるように見える。進んでいるというのは物質文明の度合いで、日干しレンガ作りではあるが、倉庫など大きな建物があったり、村人が着ている着物も小ざっぱりしているといったところから受けた印象である。家と同じ作りで小さな建物が沢山ある。これは穀物などの倉庫として使っているとのことである。

 

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日干しレンガ製の小さな建物は、穀物などの倉庫

 

トゥムセニ村には、ヤシの木が多い。ヤシの木は、葉を屋根に葺いたり、樹液からヤシ酒を作ったり、ココナツオイルなどいろいろと利用されている。

 

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ヤシの木が多いトゥムセニ村

 

私は3月11日の日本の大地震と3月22日のワガドゥグでの兵士の反乱事件と2度も強い緊張をしいられてからあまり日にちが経っていなかったので、この村のゆったりした雰囲気に癒される思いであった。

 

歓迎を受ける

初めて訪れ、ドゥニーズが私を紹介してくれると、そこで待っていた住民森林管理組織の委員会のメンバー達がアダンセ(ようこそ)と言って、大歓迎してくれる。私が自己紹介をし、ブルキナに来た経緯などを話すとドゥニーズが現地語のジュラ語に通訳してくれる。

村人にいろいろ聞きこんでいる時には、遠くに粉ひき機の規則的な音が聞こえてきて、それがのんびりとしたその場の雰囲気にピッタリと合っていてとれも気持ちが良かった。聞きこんでいる周囲には豚や鶏が飛び交い、幼い姉が弟の面倒をみている子供もいる。日本でも戦後のしばらくの時期までの田舎では同じような雰囲気だったのだろうと思う。

 

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聞き込みをしている周りにいた子ブタ。ブタを飼っている人は少

ないので、ここの人はイスラム教でなくキリスト教かもしれない

 

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どの村にも鶏は多い

 

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幼い姉が弟の面倒をみている子供

 

仕事

ドゥニーズがプロジェクトの進行状況やプロジェクトへの資金の出入状況などを予め模造紙に作っておいた表を見せ、住民と共にそこに書きながら確認していく。

 

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あらかじめ用意した模造紙でドゥニーズが説明

 

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プロジェクトの進行状況を記入した模造紙を持つ住民森林管理組織のメンバー

 

つづく

【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.13

明けましておめでとうございます。本年も「森林紀行エッセイ」をよろしくお願いします。

村の植物

様々な産物を書いた項で、植物としてシアバターの木、ネレ、サバ・セネガレンシス、バオバブなどを紹介した。これ以外に、いろいろと植物の葉の写真を撮り、きちんと同定はできていないが、その中の一部分と果樹などを含めて、もう少し植物を紹介したい。

プテロカルプス

大きなプテロカルプスの木にウェンガ(Wenga)村で出会った。村の入口のこの村の代表者の家の前にあったものである。プテロカルプスはマメ科のプテロカルプス属で35種ほどあるが、羽状複葉の葉と円盤のような翼がついた種子を見るとすぐにわかる。私はジンバブエでも森林調査を行っており、調査した地域ではプテロカルプスが最も良い材が取れる樹種だった。ジンバブエの樹種はPterocarpus angolensis だったので、ここのものは樹種は異なるものであるが同属である。中央アフリカから西アフリカに多く分布するので、きっとブルキナのこの周辺には沢山あるのだろう。久しぶりにプテロカルプスを見て懐かしい思いがし、まさに出会ったという思いだった。

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  ウェンガ村にあったプテロカルプスの木

 

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プテロカルプスの羽状複葉の葉

 

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プテロカルプスの円盤状の翼が付いた種子

 

マンゴー

マンゴーはどこの村にも大量にある。子供達だけでなく大人も皆おやつ代わりにマンゴーを食べている。ここのマンゴーは繊維が多いが、カリブ海のドミニカ共和国で食べた野生のマンゴーよりは大分繊維は少なく食べ易かった。

 

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ジョンゴロ村のマンゴー

 

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ラバラサンクララ村でマンゴーの木の下で日差しを避ける牛

日差しが強烈なので日陰を作るためにも植えられるマンゴー

 

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スバカ村。集会の前にマンゴーの木に登りマンゴーを取る男性

 

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スバカ村。男性が落としたマンゴーを運ぶ女性

 

この他、何種類もの実が食べられる木が、各村には植えられている。カシューナッツは多くの村で植えられていた。また、ニーム(インドセンダン)がどの村でも多く植えられていて日陰を取るのに利用されている。またバイオディーゼル燃料を取るジャトロハが植えられている所もあった。チューヤと言ってコノテガシワもかなり見た。

州局の庭にはハート型をした葉を持つ木、葉柄が長い掌状の木やアカシアなどかなりの樹種が樹木園風に植栽されていた。

 

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カシューナッツは多くの村で植えられている

 

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ニーム(インドセンダン)の実

 

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ジャトロハ

 

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チューヤ(コノテガシワ)

 

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ブヌナ村にあった実が食べられる木。甘く美味しい。

 

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州局の庭にあったハート型の葉の木

 

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州局の庭にあった葉柄が長く掌状の葉の木

 

つづく

【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.12

様々な産物(2)(サバ・セネガレンシス、ハチミツ、バオバブ)

サバ・セネガレンシス(Saba senegalensis)

サバ・セネガレンシスはつる性で、ほふく性の低木であり、その果実から作るジュースは甘酸っぱくてとてもおいしい。このジュースの生産販売により、住民の生活向上に貢献できるのでないかとプロジェクトではこのジュースの生産販売の研修を森林管理住民組織に行っていた。プロジェクトが発行したニュースレター「コモエの森からの恋文(Vol.6、2009年10月)号」に書かれた記事を抜粋要約し、サバ・セネがレンシスの木を紹介する。

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ウェンガ村のサバ・セネガレンシスの花

 

記事【サバ・セネガレンシスは、ブルキナ・ファソの主要言語の1 つであるジュラ語では「ザバ」と呼ばれている木本性の蔓植物で、実を食用とする。シアバターの木(Vitellaria paradoxa)やネレの木(Parkia biglobosa)、に次いで、バオバブ(Adansonia digitata)と並び、このサバ・セネガレンシスは、地域で利用頻度が非常に高い非木材林産物の1つである。

直径5?7cmの丸形か楕円形の実が、雨期が始まろうという5月か6月頃から成熟する。始めは緑色をしているが、成熟するにつれ黄色から淡いオレンジ色にまでなる。これが食べ頃なのだが、ここまで待っていると、他の誰かに取られてしまう恐れがあるため、一番おいしい成熟したタイミングで実を取るのは、苦労する。この実を食べる時は、実を両手で挟み込み力を加えて割る。かなりの力がいる。そして、黄色い果肉部分を食用とする。味は甘酸っぱい爽やかな味がする。ビタミンCを豊富に含んでいる(48mg/100g)。収穫時期には、街の市場にもこの実がマンゴーの横に並んでいたりもする。また、この果肉からジュースを作り、それを小さなビニール袋に入れて売り歩く女性の姿も目にする。その商業的価値はシアバターやネレほどではないが、女性の収入源の1 つとなっている。バンフォラには、このサバ・セネガレンシスのジュースを商品化しようとしているBomba Technoという会社がある。

本プロジェクトでは、森林管理技術研修の一環として、Bomba Techno社と協力しつつ、サバ・セネガレンシス活用技術研修を住民森林管理組織向けに実施する。これにより住民組織は、サバ・セネガレンシスの適正な加工技術を習得し、品質の良いジュース原料を生産出来るようになる。この原料をBomba Techno社が買い上げる。住民組織としては、安定した売り先を確保出来るし、Bomba Techno社としても、自らの技術指導による確かな原料の仕入先を作ることが出来る。住民組織は、自分達でこの製品を売ることも出来る。キーワードは品質である。適正な技術と、衛生にも配慮して生産することにより、高品質の原料供給を住民管理組織が実現し、森林管理にも貢献することを目指している。】

 

私が参加した時点ではこの研修が行われていて、ブヌナ村などはサバ・セネガレンシスジュースを製造、販売しており、このジュースを飲んだ。傷まないよう砂糖を大量に入れて濃縮ジュースとなっているため、水で割って飲んだが、甘酸っぱくとても美味しいと思った。それ以後毎日の常飲のジュースとなった。シロデリヤン(Sirop de lianes :つる植物飲料)として売られており、まさにシロップである。

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町の小売店で売られているブヌナ村製造のサバジュース

 

ハチミツ

プロジェクトでは、ハチミツ生産も指導しており、ハチミツ生産についてプロジェクトが発行したニュースレター「コモエの森からの恋文(Vol.2、2008年7月)号」に書かれた記事を抜粋要約し、紹介する。

 

記事【プロジェクトの1年目には、既存の住民森林管理組織に対し、養蜂(ようほう)技術支援を実施した。研修により技術・知識を習得するのはもとより、習得した技術・知識をすぐさま実施へ移すために、最低限必要な資機材を投入する。これが住民森林管理組織の活動の資本となり、管理組織はこれを元に新たな収入機会を得ることになる。資機材にかかる費用の一部は、管理組織が積立てる。その資金をリボルビング・ファンド(回転資金)として管理組織が活用しつつ、持続的な組織運営を目指す。

バンフォラで地域関係者セミナーを開催した際に、ブヌナ村のグループが自分たちの生産したハチミツと、その活動状況を発表した。また、ハチミツ製品の展示や、セミナー参加者には、サンプルを配り、味見をしてもらった。ブヌナ村のハチミツの水分は19.5%?21.5%となかなかの品質である。セミナー開催後、ブヌナ村の発表に触発されてか、養蜂技術研修を実施した他の3つのグループ(ラボラナンバルフォ村、トゥムセニ村、フガングエ村)が次々と自力でハチミツを収穫した。そして、ブヌナ村のグループのハチミツは、バンフォラという都市部の消費地を控えているおかげか、既に売り切れた。プロジェクト対象地域では、伝統的な養蜂も行われている。巣箱は使わず、草や、粘土から作った筒状の巣を木にかける。ハチミツ収穫の際に火を使用するため、この火の不始末が、乾期の野火の一因にもなっているので、近代養蜂の導入は森林保全にも貢献出来る。】

 

私もブヌナ村で製造したハチミツをバンフォラの町で買って味わっていた。色が少し黒っぽかったが、味には関係なく、美味しいものだった。

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真ん中の黒い色のもがハチミツ。

MIEL DE BUNUNA(ブヌナ産ハチミツ)と書いてある

 

バオバブ

バオバブ(パンヤ科:熱帯に分布。高さ30mに達し葉は掌状複葉。楕円形の実がなる。)の木は住民が伝統的に利用してきた木で、どこの村にも大木が残っている。日差しを遮り、この下で住民の集会が開かれたりする。また樹皮がロープに使われたり、その実はジュースともなる。

プロジェクトで発行したニュースレター「コモエの森からの恋文(Vol.5、2009年7月)号」に書かれた記事を抜粋要約し、バオバブを紹介する。

 

記事【バオバブの学名はAdansonia digitata。digitataとは、葉が手の指のように掌状に広がることから名付けられている。

アフリカでバオバブと言えば、自動的に、このA. digitataを指しすが、実は、バオバブが属するAdansonia属には11種類もある。恐らく、サンテグジュペリの「星の王子様」に描かれているバオバブは、このA. digitata。その他、マダガスカルに8種類、オーストラリアに2種類ある。(これは、昔、アフリカとマダガスカルとオーストラリアが陸続きであった証拠?)さて、この木の利用を見るに、まるで天然のコンビニエンスストアかドラッグストアだ。葉は食用、果肉も食用、樹皮からは繊維がとれ、根は薬用や染料になり、ほぼすべての部位がなんらかの用途に利用されている。このため、バオバブは、ブルキナ・ファソばかりではなく、西アフリカの様々な文化とその景観を形作る重要な要素となっている。種子は、油脂分を15%も含んでおり、タンパク質も豊富。

プロジェクトの森林管理技術研修の一環として実施している苗木生産研修を受講した村でも、バオバブの苗木が生産されている。ジャンガ村で成育中のバオバブ苗木は成長するよう期待されている。

Pain de singe: バオバブの実のことをフランス語では「サルのパン」と呼んでいる。硬い殻の中には、白い乾燥した果肉が見える。甘酸っぱくてまるでラムネで、Vitamin Cが豊富。

バオバブの樹皮は、主には繊維として利用され、ロープ等に加工される。薬、時には家畜飼料としても利用される。

花の後にはラグビーボールのような実がぶら下がる。この中に、白い果実と種子がぎっしりつまっている。

バオバブの花は下向きに咲き、コウモリが花粉を運ぶコウモリ媒花。(コウモリだけではないようであるが)】

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ジャンガ村の巨大バオバブ。合体木と思われる

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ジャンンガ村。別の巨大バオバブ

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ジャンガ村には巨大なバオバブが数本ある

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ジャンガ村のバオバブの葉。掌状である

 

私はブルキナよりもセネガルでの仕事の期間の方がずっと長く、セネガルでもバオバブを良くみた。不思議に思ったのは、ロープを取るために樹皮をはがすのだが、その時形成層(植物の成長組織)まで剥がしてしまうのではないかと思われ、何故バオバブが枯れないのか不思議である。それに大木は良くみかけるのだが、小さいバオバブをほとんど見かけず、大きさに連続性のないことである。更新木を見かけないことである。そして感心したのは、雨期前のまだ雨が降り始める前から新芽を出し始めるのである。空中の湿度を感じ取るのに違いない。

【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.11

様々な産物(1)(スンバラ、ドゥリバラ)

スンバラ

スンバラとは西アフリカの料理には欠かすことのできない発酵食品の調味料である。フランス語では「ネレ」と呼ばれるマメ科の樹木の種子から製造する。ネレの木は樹高が10?15m(最大では20m程度)までに成長し、「シアバターの木」と同様、その有用性から農地の中に伐採されずに残されている。前回紹介した「シアバターの木」とこの「ネレ」がこの地域では、点々と農地の中に存在している。これがこの地域の独特の景観を形成している。

「スンバラ」は、納豆菌と同じ仲間の菌を発酵させた食品のため、独特の香りがし、酸っぱく、これを用いるのが、西アフリカ料理の特徴である。

種子が取れるのは4月?6月で、収穫後は軒に干してから、種子と果肉を採取する。残った莢は、粉末にし、水に溶かして防水材として壁に塗ったりするということである。スンバラは村の女性の貴重な現金収入源ともなっていて、プロジェクトでは森林管理グループの生計向上支援の一つとして、スンバラの加工方法の改善指導を行っていた。

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 ネレの木の莢

 

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莢の中身。黄色の果肉の中に種子がある

 

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果肉の中から種子を取り出し、乾燥させてから発酵させる

 

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出来上がった「スンバラ」

 

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独特の風味がある

 

ドゥリバラ

ドゥリバラとはワタモドキ科(被子植物、2属20種ほどの木本からなり、世界の熱帯(東南アジア島嶼部を除く)に分布し、特に乾燥地に多い)の樹木で、この根が抗マラリア薬とされている。

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ドゥリバラの花

 

「ドゥリバラ」は、鬱蒼とした森の奥深くというよりも、休耕地のような比較的明るい場所によく生えている。樹高は、大きくても1.5mの低木で、草むらに隠れてしまうこともある。雨期の終わり頃から乾期の初め(バンフォラでは10?11月)に、鮮やかな黄金色の花をその枝条の頂きにつけるので、とても目立つ。イチジクの実のような褐色で楕円形の実をつける。実が熟すと白い毛にくるまれた黒い粒の種子が出てくる。

この植物は、根が薬用となり、抗黄疸・抗マラリア性に優れているということである。また、肝臓や胆嚢疾患、特に黄疸などに対して、煎じ薬として伝統的に利用されている。

プロジェクトでは、このような薬用植物を活用すべく、森林管理住民組織向けに薬用植物活用研修を行っていた。森林管理住民組織のメンバーは薬用植物の採取・乾燥・保存及び栽培の知識・技術の取得を目的とした研修を受ける。その研修を担当していたのは、技術提携をしていたラボラトワール・フィトフラである。この研究所のダクヨ博士は、重度のマラリアではない場合には、抗マラリア薬であるクロロキンの代用薬として十分な効果が得られるとしている。

技術研修を受けた住民は、資源を枯渇させない適切な方法でドゥリバラの根を採集し、乾燥処理を行った後、フィトフラへ納入し、収入を得ており、非常に高い収益を上げている。

ラボラトワール・フィトフラは薬用植物を利用した製品の製造・販売をはじめとして、薬用植物治療や農産物加工部門で事業を展開している中小企業である。同社は西アフリカのブルキナ・ファソ南西部のバンフォラ市を拠点とし、20数年前から60余りの製品を製造し、ブルキナ・ファソ全土で販売している他、海外にも輸出している

薬用植物を利用した薬品の製造には原料の調達ルートが必要であることから、ラボラトワール・フィトフラは薬用植物生産者組合を設立し、カスカード州内の200名以上の生産者が組合に加入している。そしてプロジェクトとの連携により、森林管理住民組織も調達先の一つとなったのである。

 

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木の根を削る

 

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削った根を乾燥させる。ウラテンガ村

 

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フィトフラ製薬会社。薬用植物の苗木も作っている。

 

今回の記事はプロジェクトが発行したニュースレター「コモエの森からの恋文」を参考にし、一部を引用し編集した。

つづく

【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.10

No.10 シアバターの木

プロジェクトでは、指定林(国有林)周辺に住む村人に、樹木を伐採せずに森林を保護してもらうために、森が持っている様々な恵みを活用して、いろいろな産物を作ってもらい、それを販売して生活向上に繋げようとしていた。このプロジェクトの一番の目玉はシアバターの生産である。この周辺はシアバターの木の自生地であり、その実から大量のシアバターの生産が可能だからである。かつてはシアバターの木の純林が沢山あったと思わされるほどシアバターの木は多い。その他の産物はスンバラといってやや酸味があり調味料に使うものやドリバラといってマラリアに効く薬、それと蜂蜜やバオバブのジュースなどである。今回は特に重要なシアバターを紹介しよう。

シアバター

シアバターの生産はこのプロジェクトの目玉である。シアバターはアカテツ科(熱帯産の樹木、樹脂や乳液を分泌したり美味な果実を産することが多い)のシアバターの木(Vitellaria paradoxa)から作られる。ここでは成長すると15m程の樹高となり、農地内に沢山残されている。

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シアバターの木の樹形

 

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樹皮はクヌギの様にひび割れる

 

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葉は輪生状

 

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シアバターの木の実

 

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実の果肉。果肉を取り除いた種子からシアバターを作る

 

シアバターは、ブルキナ・ファソをはじめとし、ガーナ、ナイジェリア、マリ等の西アフリカ諸国が主産地である。プロジェクト対象地域では、このシアバターが日常的に使用されており、バターのように食用に使われ、傷の治療にも用いられる。シアバター生産の担い手は女性で、市場では女性がシアバターを売っている姿も良く見られる。

私がプロジェクトに参加した時には、シアバターを村から購入するシステムが出来上がっていた。プロジェクトと提携しているサントル・ラキエタ(ラキエタ・センター:ラキエタというバス会社がエイズ感染症対策などの社会貢献を目的とし、日本大使館の草の根支援で建設した施設)がシアバターを村から購入し、シアバター石鹸を作るシステムが軌道に乗っていた。

シアバターの購入(写真で紹介)

 

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村へ行き、住民が製造したシアバターを集める

 

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住民が製造したシアバターの重さを測る

 

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サンプルとしてシアバターを少し取る

 

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サンプルに熱を加えて溶かし、品質を検査

 

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ソーダを加え固まるまでの時間を計る。ゆっくり固まる程品質が良い。

3クラスに分け、それぞれの値段で買い取る。

 

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販売数量を伝票に記載。

村の収入となり、伝票を付け、収支を記録するのも研修の一つ

 

私は、ロキシタンなどの化粧品は原材料の価格からみると高過ぎると感じており、フェアトレードが必要だと思う。そうすれば住民の生活向上にはもっと貢献できると思う。

ワガドゥグのスーパーマーケットでもスキンケア用の地元産品が売られていたので一つ買ってみたが、香料を混ぜていて、その匂いが強すぎた。その香りでシアバターの匂いを消しているのだと思うが、強すぎる香料のため少ししか使えなかった。

一方プロジェクトで作っているものは完全に自然なもので、シアバターの香りはするが、私には決して悪い匂いとは感じない。当時プロジェクトを行っている村で生産したシアバターを大量に買ったため、丸2年たった今でも日本で使っている。やや酸化してきているが、手足の保湿材としては非常に効きめがあると感じている。

地元民は料理用の油として使っているので、食用油として試してみたが、これは少し匂いがして、料理がおいしくなるとは感じなかった。しかし、庶民が廉価で大量に買えるのでそれはそれとして生活の安定にはつながるであろう。

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シアバターのみで製造した石鹸

 

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ラキエタ・センターで製造されたシアバター石鹸。

100%シアバターの石鹸。KONANとは現地語で石鹸という意味

 

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製造者:エイズに感染した女性達のための研修施設ラキエタ・センター

 

つづく

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