増井博明の森林紀行エッセイ

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【森林紀行No.7 アラカルト編】 No.1

エクアドル アマゾン川源流域の先住民の超能力

 超能力とは一体何であろうか?人間の力では不可能とされるようなことができる能力だが、透視や予知あるいは念力などを除けば、五感が持つ力が人間以上で動物的であることだろう。

 アマゾンの先住民達は現代人が持ちえない視覚と聴覚を持っていると思う。一緒に仕事をしていて、ヘビやタランチュラ(毒蜘蛛)など全く怖くないと言っていた。こちらの方が先に見つけるからすぐに捉まえることができるからだとのことだ。森林内で保護色であってもすぐに見つけてしまう。それほど視覚が発達しているのだろう。聴覚も次に書く様に遠くから音が感知できるようで、視覚とともに、発達しているのだろう。

 一方嗅覚は発達していないと思う。なぜなら現代人には耐えられない風呂に入ったことのないような強烈な匂いを皆放ちながら生活していても何とも感じないのだから、逆に嗅覚は衰えているのではなかろうか?

 

 さて、1986年2月3日,私はアマゾン川源流域の大森林の中,タラコアという名の湖の周辺で、森林調査を行っていた。森の道案内を先住民に頼んでいた。その日の夕方、この湖畔でその先住民と別れた。その先住民は森を詳しく知っており,翌日もこの周辺の案内を頼んだのだった。

 

 「明日どこで落ち合ったら良いかな?」「ここに来てくれて,叫んでくれれば私はここに来る。」「えッ。それだけでいいのか?」「それだけで良い。」

 

  翌朝、私がこの湖のほとりに来て大声で叫んでも彼はすぐには現れない。どこから現れるのだろうといぶかしく思い、何回も叫ぶ。するとはるかかなた湖の対岸にわずかに動くものがあるではないか。双眼鏡で覗くとカヌーである。じっと見ていると昨日道案内を頼んだ先住民が乗っているではないか。まさしく,昨日の先住民だ。

 

アマゾン川源流域のタラコア湖.jpg

アマゾン川源流域のタラコア湖 開発が進んでいる。上部はナポ川

 

 

 彼が湖の対岸からカヌーに乗って段々と私の方に近づいてきた。夢か幻か、あるいは映画の中の世界にいるようで、ワクワク興奮した。自然に溶け込んだ生活をしていれば人間の五感も動物のように発達するのだ。周辺の多くは伐採され農地などに開発されているが、今でもグーグルアースの衛星画像を見るとナポ川沿いにタラコア湖を捜すことができる。

 

 

アマゾン源流域の森林内の大木.jpg

アマゾン源流域の森林内の大木

 

 

 

 

つづく

 

 

 

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