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【森林紀行No.1 16/18】「交通事故の後」

森林紀行

目標に近づく

雨に苦しめられる

 少しの間ラゴ・アグリオを中心に調査することとして、8月15日(木)は、ラゴ・アグリオから5kmくらい離れたサンミゲルという場所でペンタプリズマだけによる測定をした。データを採取した伐採木の数は合計で120本となり、目標の150本にだいぶ近づいてきた。

調査して一息。左からルナ、メディーナ、増井.jpg

調査して一息。左からルナ、メディーナ、増井

 

 この日は車で30分行ったところで下り、その後森の中を30分程歩いた。調査をしている最中に、雨が降りそうになり、雷が鳴ってきて、真っ黒な雲が広がり、土砂降りになりそうなので、皆に仕事をやめさせ車まで走って引き上げた。全員が引き上げ、車に入ったとたんに車の屋根にも穴があきそうなほどたたきつける大粒の雨がドッと降り出した。間一髪で濡れ鼠にならずに助かった。

 

スコール直前の空.jpg

スコール直前の空

 

逃げた運転手が現れる

 昨日の晩に、明日8月16日(金)は朝7時に必ず出発するとモリーナが自信を持って強く言っていたので、我々にはいつも通りであるが7時ぴったりにMAGの事務所へ行くと彼らはまだ寝ていて、我々が起こすしまつだった。これから飯を食べに行くという。「まったく。朝飯なしで出発しろ。」と朝食抜きで出発させた。

 

 そこへ事故を起こし、逃げていた運転手が現れた。よくのうのうと現れることができたものである。悪びれた様子はないが、しきりに言い訳をしている。多少足をひきづるようにしているので、まだ打ち身が残っているのだろう。モリーナも彼を責めることはしないで、寛大な扱いである。

 

 7時半にモリーナ達は朝食を取らずに出発するが、途中のディーノという所の道端にある食堂で、彼らは朝食を食べる。彼らはどこで食べられるのかをちゃんと知っているのである。

 

 ペンタプリズマを使って何本かの直径を測り、伐倒してあった2本も測る。もう1班は伐採した測定木に巣くっていたハチに襲われ、結局測れなかった。

 

 

子供を山に連れて行く

モリーナが子供を連れて山へ

 昨日の打合せで今日8月17日(土)は、モリーナ達は7時には必ず出発すると言っていたが、朝食を食べて彼らが戻ってきたのが8時過ぎだった。我々はいつも1時間は待たされるのだが、コカのMAGの事務所でおしゃべりしているのも良い気晴らしであった。

 モリーナは、事故にもこりずに、今度は自分の本当の子供を2人連れて来た。そして二号さんの子供も一緒に3人山へ連れて行くという。まったくいい加減にしろというものだ。「もし、森で倒れてきた木の下敷きになるような事故でもあったらどうするのだ?子供は事務所に残しておけ。」と言ったのだが、聞くようなモリーナではなく、子供を山に連れて来た。私の班ではなかったが、近くでもう一班が木を伐っているので気が気ではなかった。

 森へ入り、私の班は、胸高直径1m以上の木を2本伐るが、2本目はチェンソーの歯を木に噛ませてしまい、抜けなくなった。もう一班のチェンソーを借りてきて、それで周囲を伐って噛んだ所を緩めてはずし、その1本を伐り終わるまで2時間以上もかかってしまった。昼飯は最近はずっと抜きだ。

 

巨大なアリ(コンガ)

 この周囲はコンガと言って5cmにもなる巨大な蟻が多い。これにかまれたら大変な痛さということだったが、幸いに噛まれたことはなかった。

 

映画へ

 その晩は土曜で明日はコカに移動し、森には入らない予定なので、じゃあこれから映画を見に行こうと皆でラゴ・アグリオの映画館へ映画を見に行った。ここでやっていたのは「ジョーズ?」と「The dirty seven」であった。こんな田舎に500人程も入る大きな映画館があるのに驚いた。

 

 

再びコカヘ

コカへ移動

 8月18日(日)は、この前と同じようにコカへ持って行かない荷物をホテル・エル・コファン預ける。ホテルの支払いを済ませてMAGの事務所へ行き打ちわせる。10時に出発する予定がアグア・リコ川の渡河場所にハシケが来ていないとのことで、ハシケが来るまで待っていて出発は12時半になってしまった。

 配車の関係で、私とアロンソはタクシーを使い先にコカに向かう。2つの渡し場もタイミング良く渡れて、順調に進み3時半過ぎにコカに着く。かなり早く着いた。着くと同時に土砂降りになり、雨を避けられラッキーであった。ホテルは一人部屋がなく、一部屋に2人づつ、Wさんと私、Y君とI君とが入ることとする。

 

チェンソーマンを連れてくるのを忘れる

 8月19日(月)は7時にMAGへ行くと珍しく7時半に全員が用意して集まった。すぐに出発し、コカから近く南西に位置するパヤミーノに行く。途中やはり渡し船があるが、30分くらいで着く。車に乗る時間が少ないと疲れが少ない。

 ところがこの日はチェンソーマンを一人連れて来るのを忘れてきた。もう一人の良く働くパスクワルに負担がかかる。パスクワルも先日沢山のハチに刺されてから元気がない。

 もう一人のチェンソーマンを連れて来るように、車を1台戻らせて、午後になってようやくもう一人のチェンソーマンが来た。

 この日直径1m以上の木をパスクワルが4本、もう一人が1本伐って、また前に伐ってあったものを1本含めて合計で6本も測れそうだった。しかし、1本は、ハチがいて測れず、結局5本を測ったが仕事はかなりはかどった。

 

入植者

 8月20日(火)、この日もパヤミーノへ行く。少し雨が降る。モリーナは朝、車に乗って付いてきただけで、足が痛いので歩けないと言ってコカへ戻る。

 メディーナとアロンソと2人で今日中に終わらせようと頑張る。この地域にいるのは厳しいので何んとか早く終わらせて、キトーに戻ってデータの整理をしたいが、なかなかデータ取りが終わらない。

 ここの森の手前に住んでいた入植者は4年前にアンデス山脈上のBolivar県からここに一家で移り住んできたとのことだった。作業に加わってもらったが、夫はCesar Auguloと言って45才、妻はCurudo Moralezと言って41才とのことだった。この二人の間に8人の子供がいて、長男が22才、次が長女でPatricioの妻となっていて20才で、一番下の子は1才とのことだった。生活の厳しさからだろうか、私の目からは夫婦は、実際の年齢よりずっとふけて見えた。

 

アウグーロ一家と.jpg

 アウグーロ一家と

 

アリに刺される

 この日、仕事中に首の周りに湿疹ができて、だんだんひどくなってきた。かゆくてたまらない。木の上に座って測樹中に、非常に小さなアリに這い上がられたのだ。小さなアリだったのでわからなかいうちに、首の周りを刺されたのだ。

 

アリに刺されて湿疹になってきたところ.jpg

 アリに刺されて湿疹になってきたところ

 

 帰ると湿疹がだんだんとひどくなり、上半身にジンマシンが出てきた。かゆい、かゆい。それで持ってきていた、抗ヒスタミン剤を飲む。多少良くなったが治らない。

 アリもコンガのように5cmもあるような大きなものから、刺されたアリのように1mmくらいのものまで様々な大きさのものがいる。

 

 

最後の仕事

 8月21日(水)は夜中から雨がひどく降り始め、ホテルのトタン板の屋根を打ち付ける音がもの凄く、それに首の周りがかゆくてよく眠れない。もう一度抗ヒスタミン剤を飲むが効きめがない。

 

 朝、最後の仕事だと発破をかける。しかし、カウンターパート達は、「こんな雨の中行きたくない。」と駄々をこねる。「現場に着くころにはやむよ。」と言って無理に行かせる、しかし、メディーナは「行きたくない。」と言い張りさぼる。

 我々はそれでも現場に行く。しかし雨は降りやまず、雨の中、最後の仕事を行う。昼までやって終わったが、雨は降り続いていた。入植者の家で雨やどりをさせてもらうとシンガーミシンがあった。

 

 

ラゴ・アグリオへ

 8月22日(木)は久しぶりに晴れて暑かった。しかし浮雲もある。

 今日はラゴ・アグリオに帰るので、8時には出発しようと言っていたがカウンターパート達は、現場の仕事が終わったので、昨夜午前2時頃まで飲んでいたとのことだった。当然8時には出発できず、結局10時出発となる。いろいろお世話になったホテル・アウカにもお礼を言ってラゴ・アグリオに向かった。

 午後2時過ぎにラゴ・アグリオに着く。今晩はラゴ・アグリオに泊まり、明日はようやくキトーだ。飛行機便を調べるとTAMEが飛んでいるとのこと。もし席が取れれば、Wさんと私は飛行機で帰り、取れなければ車で帰ることにする。Y君、I君は最初からモリーナ達と車でテナとプヨを通って帰ることに決める。

 

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コカのホテルアウカの奥さんと

 

 夜は打ち上げのパーティーをラゴ・アグリオのホテル・エル・コファンで行う。午後8時集合と言っていたのに、カウンターパート達が来たのは、午後9時過ぎである。ホテルのレストランは10時に閉めるので、忙しく食べた。その後外に少し飲みに行って、12時にはホテルに帰った。モリーナ達は相変わらず、きりなく飲んでいる。

 このパーティーの時ヒメネスの知り合いでエンデッサという企業に勤めている人も参加し、その人も明日キトーに向かうとのことで、空港に知り合いがいるので空港に行けばキャンセル待ちで乗れるように手配してくれると言う。私は、明朝確実に空路でキトーに戻れるということで安心した。

 

 

キトーヘ

 8月23日(金)はキトーへ帰る日だ。朝ホテル・エル・コファンに支払いを済ませ、お礼を言う。8時半にホテルの近くにあるTAMEの事務所に行ってキャンセル状況を聞いてみるが、ここではわからないと言われる。しかし、昨晩一緒に飲んで口を利いてくれるエンデッサの人がいるから大丈夫と安心していた。空港には10時前に行っていた。しかし、エンデッサの人は飛行機の出発時間が11時だということで10時半になっても空港に来ない。

 我々を空港に降ろし、Y君、I君、カウンターパート達の車組はキトーに向かい既に出発した。

 

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出発したカウンターパート達

 

 空港では相当数の人がキャンセル待ちをしていた。出発前30分を過ぎてようやく来たエンデッサの人の口利きで乗れることになった。一人1,000スクレ(約2,000円)である。キトーまではわずか30分あまりであるが、その間にカヤンベ山(5,790m)を見ることができた。

 

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カヤンベ山

 

 車組みはアマゾン源流域から来る時とは違った道を通り、アンデス山脈の上まで登った。その途中での景色が素晴らしかったとのことだった。このルートは次回、次々回と私も通る道だった。このときは特に途中の滝が素晴らしかったとのことだった。

 

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アンデス山脈途中の滝

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 アンデス山脈の急斜面を歩く先住民

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