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【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.10

森林紀行

No.10 シアバターの木

プロジェクトでは、指定林(国有林)周辺に住む村人に、樹木を伐採せずに森林を保護してもらうために、森が持っている様々な恵みを活用して、いろいろな産物を作ってもらい、それを販売して生活向上に繋げようとしていた。このプロジェクトの一番の目玉はシアバターの生産である。この周辺はシアバターの木の自生地であり、その実から大量のシアバターの生産が可能だからである。かつてはシアバターの木の純林が沢山あったと思わされるほどシアバターの木は多い。その他の産物はスンバラといってやや酸味があり調味料に使うものやドリバラといってマラリアに効く薬、それと蜂蜜やバオバブのジュースなどである。今回は特に重要なシアバターを紹介しよう。

シアバター

シアバターの生産はこのプロジェクトの目玉である。シアバターはアカテツ科(熱帯産の樹木、樹脂や乳液を分泌したり美味な果実を産することが多い)のシアバターの木(Vitellaria paradoxa)から作られる。ここでは成長すると15m程の樹高となり、農地内に沢山残されている。

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シアバターの木の樹形

 

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樹皮はクヌギの様にひび割れる

 

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葉は輪生状

 

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シアバターの木の実

 

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実の果肉。果肉を取り除いた種子からシアバターを作る

 

シアバターは、ブルキナ・ファソをはじめとし、ガーナ、ナイジェリア、マリ等の西アフリカ諸国が主産地である。プロジェクト対象地域では、このシアバターが日常的に使用されており、バターのように食用に使われ、傷の治療にも用いられる。シアバター生産の担い手は女性で、市場では女性がシアバターを売っている姿も良く見られる。

私がプロジェクトに参加した時には、シアバターを村から購入するシステムが出来上がっていた。プロジェクトと提携しているサントル・ラキエタ(ラキエタ・センター:ラキエタというバス会社がエイズ感染症対策などの社会貢献を目的とし、日本大使館の草の根支援で建設した施設)がシアバターを村から購入し、シアバター石鹸を作るシステムが軌道に乗っていた。

シアバターの購入(写真で紹介)

 

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村へ行き、住民が製造したシアバターを集める

 

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住民が製造したシアバターの重さを測る

 

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サンプルとしてシアバターを少し取る

 

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サンプルに熱を加えて溶かし、品質を検査

 

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ソーダを加え固まるまでの時間を計る。ゆっくり固まる程品質が良い。

3クラスに分け、それぞれの値段で買い取る。

 

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販売数量を伝票に記載。

村の収入となり、伝票を付け、収支を記録するのも研修の一つ

 

私は、ロキシタンなどの化粧品は原材料の価格からみると高過ぎると感じており、フェアトレードが必要だと思う。そうすれば住民の生活向上にはもっと貢献できると思う。

ワガドゥグのスーパーマーケットでもスキンケア用の地元産品が売られていたので一つ買ってみたが、香料を混ぜていて、その匂いが強すぎた。その香りでシアバターの匂いを消しているのだと思うが、強すぎる香料のため少ししか使えなかった。

一方プロジェクトで作っているものは完全に自然なもので、シアバターの香りはするが、私には決して悪い匂いとは感じない。当時プロジェクトを行っている村で生産したシアバターを大量に買ったため、丸2年たった今でも日本で使っている。やや酸化してきているが、手足の保湿材としては非常に効きめがあると感じている。

地元民は料理用の油として使っているので、食用油として試してみたが、これは少し匂いがして、料理がおいしくなるとは感じなかった。しかし、庶民が廉価で大量に買えるのでそれはそれとして生活の安定にはつながるであろう。

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シアバターのみで製造した石鹸

 

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ラキエタ・センターで製造されたシアバター石鹸。

100%シアバターの石鹸。KONANとは現地語で石鹸という意味

 

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製造者:エイズに感染した女性達のための研修施設ラキエタ・センター

 

つづく

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