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【森林紀行No.3 ブルキナ・ファソ編】 No.11

森林紀行

様々な産物(1)(スンバラ、ドゥリバラ)

スンバラ

スンバラとは西アフリカの料理には欠かすことのできない発酵食品の調味料である。フランス語では「ネレ」と呼ばれるマメ科の樹木の種子から製造する。ネレの木は樹高が10?15m(最大では20m程度)までに成長し、「シアバターの木」と同様、その有用性から農地の中に伐採されずに残されている。前回紹介した「シアバターの木」とこの「ネレ」がこの地域では、点々と農地の中に存在している。これがこの地域の独特の景観を形成している。

「スンバラ」は、納豆菌と同じ仲間の菌を発酵させた食品のため、独特の香りがし、酸っぱく、これを用いるのが、西アフリカ料理の特徴である。

種子が取れるのは4月?6月で、収穫後は軒に干してから、種子と果肉を採取する。残った莢は、粉末にし、水に溶かして防水材として壁に塗ったりするということである。スンバラは村の女性の貴重な現金収入源ともなっていて、プロジェクトでは森林管理グループの生計向上支援の一つとして、スンバラの加工方法の改善指導を行っていた。

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 ネレの木の莢

 

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莢の中身。黄色の果肉の中に種子がある

 

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果肉の中から種子を取り出し、乾燥させてから発酵させる

 

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出来上がった「スンバラ」

 

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独特の風味がある

 

ドゥリバラ

ドゥリバラとはワタモドキ科(被子植物、2属20種ほどの木本からなり、世界の熱帯(東南アジア島嶼部を除く)に分布し、特に乾燥地に多い)の樹木で、この根が抗マラリア薬とされている。

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ドゥリバラの花

 

「ドゥリバラ」は、鬱蒼とした森の奥深くというよりも、休耕地のような比較的明るい場所によく生えている。樹高は、大きくても1.5mの低木で、草むらに隠れてしまうこともある。雨期の終わり頃から乾期の初め(バンフォラでは10?11月)に、鮮やかな黄金色の花をその枝条の頂きにつけるので、とても目立つ。イチジクの実のような褐色で楕円形の実をつける。実が熟すと白い毛にくるまれた黒い粒の種子が出てくる。

この植物は、根が薬用となり、抗黄疸・抗マラリア性に優れているということである。また、肝臓や胆嚢疾患、特に黄疸などに対して、煎じ薬として伝統的に利用されている。

プロジェクトでは、このような薬用植物を活用すべく、森林管理住民組織向けに薬用植物活用研修を行っていた。森林管理住民組織のメンバーは薬用植物の採取・乾燥・保存及び栽培の知識・技術の取得を目的とした研修を受ける。その研修を担当していたのは、技術提携をしていたラボラトワール・フィトフラである。この研究所のダクヨ博士は、重度のマラリアではない場合には、抗マラリア薬であるクロロキンの代用薬として十分な効果が得られるとしている。

技術研修を受けた住民は、資源を枯渇させない適切な方法でドゥリバラの根を採集し、乾燥処理を行った後、フィトフラへ納入し、収入を得ており、非常に高い収益を上げている。

ラボラトワール・フィトフラは薬用植物を利用した製品の製造・販売をはじめとして、薬用植物治療や農産物加工部門で事業を展開している中小企業である。同社は西アフリカのブルキナ・ファソ南西部のバンフォラ市を拠点とし、20数年前から60余りの製品を製造し、ブルキナ・ファソ全土で販売している他、海外にも輸出している

薬用植物を利用した薬品の製造には原料の調達ルートが必要であることから、ラボラトワール・フィトフラは薬用植物生産者組合を設立し、カスカード州内の200名以上の生産者が組合に加入している。そしてプロジェクトとの連携により、森林管理住民組織も調達先の一つとなったのである。

 

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木の根を削る

 

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削った根を乾燥させる。ウラテンガ村

 

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フィトフラ製薬会社。薬用植物の苗木も作っている。

 

今回の記事はプロジェクトが発行したニュースレター「コモエの森からの恋文」を参考にし、一部を引用し編集した。

つづく

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