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【森林紀行No.4 パラグアイ – 北東部編】No.15

森林紀行

ペローバの純林を調査

 前に記したように、この調査の目的は、この地域の森林の資源量を明らかにして、森林管理のガイドラインを作ることだった。とりわけペローバの資源量を知りたかったのだった。つまり、自然が与えてくれたこの恵みが経済的にどれだけ持続的に貢献してくれるかを知りたいということであった。

 

 実際調査をしていて、伐採という行為が入らなければ、上層の大木のほとんどがペローバという状況は、ペローバが密生した純林ではないけれどもペローバの優勢林というものだった。調査中の私の感覚は、これだけペローバが優勢なのだからどこかにペローバだけの純林があるだろうというものだった。

 

 調査前に航空写真を判読している中で、樹冠が巨大で、樹幹が柔らかく重なりあい、その密度が非常に高い場所を見つけた。これは素晴らしい森林があるに違いない。ここがペローバの純林に違いない。私の頭の中では、それが確信になっていた。そこに林立するペローバの姿は、そこに行かなくとも想像できた。しかしそれを確認するために、そこには絶対行ってみなければならない。しかし、調査チームで行かなければ一人ではそこへは到達できない。そこで密樹冠林調査チームを作り、私がそのチームのリーダーでその現場に向かった。

 

 キャンプから車で、他には全く車が通らない森林内の砂地の道路を3時間ほど走った遠い場所であったが、ワクワクしながらその調査地に向かった。

 

 道路際に車を止め、その森林を目指して測量をしながら約2kmほど、人ひとりが歩けるくらいに森林を伐開して進んだ。数時間後ようやくその場所に行きついた。想像していた通り、樹高30m以上、胸高直径1m以上のペローバの大木が林立しているのであった。最大のものは直径2m以上もあり、この大木が1本だけでなく、大木はこのペローバ以外には見当たらない姿には圧倒された。

 

 ペローバというのはキョウチクトウ科の樹木である。パラグアイではセドロ、ラパーチョについて3番目に良い木とされていた。何に良いかと言えば、もちろん材木としての利用である。樹皮はクヌギのような縦割れが入り、やや粉っぽい白肌である。最大樹高は40m以上にもなる。それがhaあたり70本?80本もあるのである。つまり12m×12m四方くらいに巨大木が1本あるのである。他の樹種の巨大木は全く見当たらない、この姿が今はないのが残念だ。今残っていれば、遺伝子資源保存林など貴重な森林に分類され保存されただろうと。これも普通の木材の利用として、何百年も生きてきたのに一瞬のうちに伐採されてしまったのだ。

 

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ペローバの巨大木の下で

 

 

 この地域は全体的に平坦であるが、大きく波を打ったような土地で、多少高い土地と低い土地があり、ここは周辺の土地より高かったから、水分条件などで、この木にぴったりあう適地があるのである。

 しかし、私はこの時、ドジなことに車にカメラを忘れてきてしまった。車まで約2Kmを2往復。カメラを取ってきて写真を撮ったが、残念なことに、このペローバの純林の全体像を示す写真を失ってしまった。

 

 

つづく

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